実際の調査の流れ

1) 予告

労働基準監督署の調査(臨検監督)は、原則として予告なしに突然やって来ます

それは、事前に予告することにより、ありのままの状態を確認することが出来なくなる可能性があるからです。

逆に、予告して来るケースとしては、電話連絡で調査予定日を告げてから訪問してくるケースや、FAXで調査予定日や準備しておく帳簿や書類などを事前に連絡してくるケースがあります。

実際には、予告して調査に入るケースの方が多いと思います。

また、出頭要求書というものが届く場合もあります。これは、現地調査を行うまでもなく、帳簿書類等を労働基準監督署まで持参させ、話を聞く程度で済むような場合です。

それでは、監督官が臨検監督で予告も無しにやって来た場合、拒否することが出来るのかというと、原則として臨検を拒否することは出来ないことになっています。

しかし、担当者や責任者が不在であったり、急に対応が出来ないような場合は、丁重に日程を変更してもらうようお願いすれば、たいがいの場合は応じてもらえます。

法律的には、監督官の臨検を拒んだり、妨げたり、尋問に答えなかったり、虚偽の陳述をしたり、帳簿書類を提出しなかったり、虚偽の帳簿書類を提出した場合は、30万円以下の罰金に処すとなっています。(労働基準法第120条)


2) 調査

実際の調査のときは、労働基準監督官が2名でやって来ます。1名のケースもありますが、通常は2名です。

監督官は、自己の身分を明らかにして訪問の目的を告げ責任者への面会を要求します。

労働基準法でも、監督官は身分を証明する証票を携帯しなければならないことになっています。

さて調査の順番ですが、これは監督官が、調査の内容や、事業内容、違反の可能性などの様々な要素を勘案して行いますから、決まりがあるわけではありません。

しかしながら、概ね、次のような流れで調査が行われることになります。

  1. 労働関係帳簿の確認
  2. 事業主または責任者へのヒアリング(帳簿類と勤務実態の確認や不明点の確認など)
  3. 事業場内の立ち入り調査および労働者へのヒアリング(勤務実態の確認など)
  4. 口頭による改善指導や指示

3) 是正勧告書または指導票、使用停止等命令書の交付

労働基準監督署の調査の結果、法令違反や改善点が見つかった場合は、是正勧告や指導を受けることになります。

法令違反の場合は、その違反事項と是正期日を定めた是正勧告書が交付されることになります。

また、法令違反ではないが改善の必要があると判断されれば指導票が交付されることになります。

また、両方を同時に交付されたりもします。

これら是正勧告書や指導票は、調査の当日に交付されることもありますが、ほとんどの場合、後日、日時を指定され、労働基準監督署に出頭して交付されることになります。

これらの交付を受ける際には、事業主や責任者が出頭し、受領日、受領者職、受領者氏名などを署名し、捺印して受領します。

また、調査の結果、使用停止等命令書が交付される場合もあります。施設や設備の不備や不具合で、労働者に緊迫した危険があり、緊急を要する場合に交付されます。


4) 是正(改善)報告書の提出

是正勧告や指導票を交付されたら、改善期日までに指摘された違反内容を改善して、是正(改善)報告書を提出することになります。

この書面は書式が決まっているわけではありませんが、違反内容と、是正内容、是正完了日などを記載して、会社名、住所、代表者名を記入して押印した上で提出することになります。

以上が、労働基準監督署の調査から結末までの一連の流れということになります。

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