労働基準監督官とは?

それでは、実際に調査にやって来る労働基準監督官とはいったいどんな人なのでしょうか?

労働基準監督官は国家公務員であって、その権限は労働基準法をはじめ、前述の業務の根拠となる法律に定められています。

  • 労働基準法第101条1項
    労働基準監督官は、事業場、寄宿舎その他の附属建設物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行うことができる。
  • 労働基準法第102条
    労働基準監督官は、この法律違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行う。
  • 労働安全衛生法第91条1項
    労働基準監督官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、事業場に立ち入り、関係者に質問し、帳簿、書類その他の物件を検査し、若しくは作業環境測定を行い、又は検査に必要な限度において無償で製品、原材料若しくは器具を収去することができる。
  • 労働安全衛生法第91条2項
    医師である労働基準監督官は、第68条の疾病にかかつた疑いのある労働者の検診を行なうことができる。

他の法律にも労働基準監督官の権限について記載がありますが、共通して言える事は、労働基準監督官は会社が労働法に違反していないかを強制的に会社に立ち入り調査(臨検)する権限を持っているということです。

更に、法律違反をしていることが判明すれば、司法警察官として逮捕、送検することができる権限を持っているということです。

労働基準監督官には、会社や個人事業主に対して監督指導する通常の行政監督権限と、取調べや逮捕、捜索差押を行うことのできる特別司法警察職員としての権限を持っています。

この特別司法警察職員というのは、一般司法警察職員(いわゆる警察官)よりも専門の犯罪分野に詳しい警察官という位置付けですが、権限は一般の警察官と変わりません。

ちなみに、税務調査を行う税務署の税務調査官は強制調査権限を持っていませんから、税務調査官よりも労働基準監督官の方が強力な権限を有していることになります。

ですから、労働基準監督官をなめて掛かってはヤケドをしてしまいます。

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