割増賃金に起因する是正勧告

割増賃金に起因する是正勧告としては、やはり割増賃金を支払っていないケースや、管理監督者に深夜の割増賃金を支払っていないケース、割増賃金の計算を間違えているケースなどがあります。

割増賃金を支払っていないケースとして多いのは、残業時間を頭打ちにしていたり、固定残業で超過分を支払っていなかったり、許可の無い残業だとして認めないケースなどがあります。

また、残業代を支払わないことを入社時に同意している、基本給に含んで支払っている、年俸制を適用している、などと言うケースもありますが、当然、これは法的に認められません。

割増賃金は、以下の割合で支払うことになります。

  • 時間外労働 →  2割5分の割増賃金
  • 休日労働  →  3割5分の割増賃金
  • 深夜業   →  2割5分の割増賃金

深夜業は、22時から翌5時までの労働であり、時間外労働や休日労働に加算して支払うことになります。

また、労働基準法の管理監督者に該当する場合は、時間外労働と休日労働に関しては、適用除外とすることができますが、深夜業に関しては支払わなければなりません。

名ばかり管理職などと問題視されているように、名目だけ管理職であり、実態が異なるような場合は、管理監督者として認められません。

管理監督者の判断基準は以下の通りで、これらを総合的に見て判断します。

  • 経営方針の決定に参画し、または労務管理上の指揮権を有している
  • 勤務時間について自由裁量を有する地位にある
  • 賃金について一般労働者に比べて優遇措置が講じられている

また、割増賃金を計算する場合、算定の基礎となる金額は、基本給のみではなく、各種手当を含んだ金額で計算しなければなりません。

ただし、下記の手当は除外して計算することが可能です。

  1. 家族手当
  2. 通勤手当
  3. 別居手当
  4. 子女教育手当
  5. 住宅手当
  6. 臨時に支払われた賃金(結婚祝、傷病見舞金など)
  7. 1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)

実際の是正勧告では、未払いの賃金を過去に遡って支払うよう指導されます。

遡及できる限度は、時効までの最長2年となっていますが、相当悪質なケースを除けば、通常は3ヵ月、半年または1年といった期間が通常です。また、期間を指定されない場合もあります。

是正内容については、監督官との交渉の中で、従業員との同意や、将来に向けての改善内容などを十分に説明することで、減じてもらえるケースもあります。

一番大切なのは、今後どのようにしていくかということです。

労働時間制度の見直しや給与体系の見直し、残業の申請方法などの見直しで、無駄な割増賃金が発生しないよう、しっかりとした対策をして、適切な運営をされることが、トラブルを未然に防ぐ上で重要です。

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