協定届に起因する是正勧告

協定届に関する是正勧告で、圧倒的に多いのは「時間外・休日労働に関する協定届(36協定)」に起因する是正勧告です。

36協定の締結・届出なしに法定労働時間を超過して働かせたり、36協定を労働者に周知していなかったり、36協定の有効期限が切れているケースなどがあります。

まず、労働基準法36条では「時間外労働または休日労働をさせるときは、労働者と書面による協定をし、これを労働基準監督署長に届出なければならない」と定められています。

届出は、企業単位ではなく、各事業場単位ですから、支店や工場などが5箇所あれば、それぞれ5箇所ごとに、管轄の労働基準監督署に届出することになります。

また、実際に時間外労働を行なわせるためには、届出をした36協定を従業員に周知しなければなりません。

36協定の周知方法は以下の通りです。

  • 常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付ける
  • 書面を労働者に交付する
  • 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記憶の内容を常時確認できる機器を設置する

そして、36協定には最長1年という有効期間があります。

しかし、「限度基準告示(第69号)」によって「必ず1年間について延長時間について協定する」とされているため、実質1年を有効期間として定めることになります。

ですから、1回届出れば終わりではなく、毎年労使間で締結して、毎年監督署へ届出る必要がありますので、期限切れには十分注意して下さい。

また、時間外労働を行なわせるためには、就業規則にも、時間外労働や休日労働を命ずることがある旨の規定をしておく必要がありますので、こちらも併せて確認しておく必要があります。

また、36協定以外でも、変形労働時間制や裁量労働制、事業場外みなし労働制の協定の締結・届出をせずに行っていた場合や、届出までは必要がなくても、賃金から各種の積立金などを控除する際の協定やフレックスタイム制の協定を締結せずに行っていた場合などがあります。

主な協定については、以下のように義務付けられています。

労働基準法に基づく労使協定の締結が必要な事項
(○印は届出が必要、×は届出は不要)
労働者の貯蓄金の委託による管理 賃金の一部控除 ×
フレックスタイム制 × 1箇月単位の変形労働時間制
1週間単位の非定型的変形労働時間制 1年単位の変形労働時間制
休憩時間の一斉付与の適用除外 × 時間外及び休日の労働
事業場外みなし労働制 裁量労働制
年次有給休暇の計画的付与 × 年次有給休暇期間中の賃金 ×

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