安全・衛生に起因する是正勧告
安全・衛生に起因した是正勧告では、衛生管理者を選任していない、安全管理者を選任していない、総括安全衛生管理者がいない、産業医を選任していないなどのケースなどがあります。
まず、衛生管理者については、常時50人以上の労働者を使用する場合、衛生管理者を選任し、衛生に係る技術的事項を管理させなければならないと、労働安全衛生法に規定されています。
衛生管理者については、すべての業種が対象となり、常時50人以上の労働者とは、日雇いやパートタイマーも含みます。
衛生管理者の必要な人数は、事業規模によって下記の通りです。
事業規模(常時使用する労働者数) | 専属の衛生管理者 | 専任の衛生管理者 |
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50人~200人 201人~500人 501人~1,000人 |
1人以上 2人以上 3人以上 |
- |
1,001人~2,000人 2,001人~3,000人 3,001人~ |
1人以上 2人以上 3人以上 |
1人以上 |
常時500人を超える労働者を使用する事業場で、かつ 坑内労働または、労基則18条各号に掲げる有害業務に 常時30人以上の労働者を従事させるもの |
規模に応じて 1~6人以上 |
1人以上 |
専属とは、当該事業場で働く従業員のことで、専任とは、専らの業務が衛生管理者の業務である者です。
また、衛生管理者は、以下の者のうちから選ぶことになります。
- 都道府県労働局長の免許を受けた者
(第1種衛生管理者免許、第2種衛生管理者免許、衛生工学衛生管理者免許) - 医師
- 歯科医師
- 労働衛生コンサルタント
- その他、厚生労働大臣が定める者
次に、安全管理者ですが、こちらも50人以上の労働者を使用する事業所が対象ですが、ただし、以下の通り業種によって安全管理者の設置が義務付け、安全に係る技術的事項を管理させなければならないとしています。
安全管理者の設置が必要な、事業規模50人以上の業種 |
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林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業(加工業含む)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、自動車整備業、機械修理業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業 |
また、安全管理者は、以下の者のうちから選ぶことになります。
- 大学または高等専門学校における理科系統の正規の課程を修めて卒業した者で、その後3年以上産業安全の実務に従事した経験を有する者
- 高等学校または中等教育学校において理科系統の正規の学科を修めて卒業した者で、その後5年以上産業安全の実務に従事した経験を有する者
- 労働安全コンサルタントの資格を有する者
- その他、厚生労働大臣が定める者
次に、総括安全衛生管理者ですが、労働災害を防止するために、以下の通り、一定規模以上の事業場に、設置が義務付けられています。
業種 | 事業規模 |
---|---|
林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業 | 常時100人以上 |
製造業(加工業含む)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、 通信業、自動車整備業、機械修理業、各種商品卸売業、 家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、 家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業 |
常時300人以上 |
その他の業種 | 常時1,000人以上 |
次に、産業医ですが、こちらは衛生管理者と同様で、業種を問わず50人以上を常時使用する場合に選任しなければなりません。
産業医とは、医師の資格を持ち、かつ厚生労働大臣が定める研修を終了した者で、1,000人未満の事業場については、専属でなくてもよいので、社外の医師に委託することができます。
なお、3,000人を超える場合は、2人以上の産業医が必要になります。
よくある是正勧告事例 | |
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労働時間に起因する是正勧告 | 協定届に起因する是正勧告 |
割増賃金に起因する是正勧告 | 就業規則に起因する是正勧告 |
労働契約に起因する是正勧告 | 年次有給休暇に起因する是正勧告 |
法定帳簿に起因する是正勧告 | 安全・衛生に起因する是正勧告 |
健康診断に起因する是正勧告 |
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