会社の姿勢で変る調査結果

さて、監督官が、調査(特に定期監督)に入った場合、特に重点的に調査するのは、労働時間に関する項目となります。

労働時間に関する項目とは、労働時間の把握方法、把握した労働時間の長さ、そしてその労働時間に対する賃金(割増賃金)等が挙げられます。

特に、割増賃金については、労働基準法違反が発覚すると、監督官は、割増賃金を遡及して支払うように勧告しますから、経営者にとっては、重大な関心を持たざるを得ません。

しかし、監督官による監督は、割増賃金を遡及して払わせるということが本来の目的ではなく、労働者の健康が害されないようにすることが目的だったはずです。

この基本路線は、今も変わっていないのですが、一部の監督官の中には、如何にして割増賃金を遡及払いさせようか、ということしか考えていないと思われるような監督官も見受けられます。

確かに、法違反である以上、そのような指摘を受けることは致し方ないのですが、基本的には労働者の健康障害を防止するということが、主たる調査項目であるはずです。

ですから、監督官による調査においては、会社として、従業員の健康問題に対して、どのように考えて、取り組んでいるのかということを主張できるようにしておくことが、実務上、最も重要なのだろうと考えます。

調査本来の目的が、従業員の健康問題である以上、会社の健康問題に対する考え方や取組みによって、監督官の心証も変わってきますから、結果として是正勧告の内容に差異が出てくるのです。

しつこいようですが、会社のダメージを最小限に抑えるには、この従業員の健康問題に関して、しっかりと主張できるようにしておくことが重要なのです。

こうした観点を踏まえて、監督官が調査に入ったときのチェックポイントを説明していきたいと思います。

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