遡及払いの是正勧告への対応方法!

是正勧告書には、いくつかのパターンがあります。

  1. 特定の氏名、労働日数、労働時間、支払い金額が記載されているもの。
  2. 3ヶ月以内、3ヶ月超6ヶ月以内、6ヶ月超2年以内等、遡及期間の記載があるもの。
  3. 遡及期間の記載が無いもの。
  4. 遡及期間の記載が無く、補足として、消滅時効は2年であることに留意することという記載があるもの。

1の場合には、いつでも刑事訴追することができる態勢にあるぞということですから、絶対に従う必要があります。

しかし、多くの労働者の氏名や労働日数、労働時間を調べて、それを特定することは、物理的に困難であることを考えれば、特定の人物につき、1週間とか1日というような形で、限定的な勧告になる可能性が高いので、支払ってもそれほど問題ないはずですから、心配する必要はありません。

2は、遡及期間が3ヶ月以内であれば、前述した暗黙の慣行がありますので、素直に応じて是正するという対応をとります。

また、遡及期間が6ヶ月以内であれば、会社の経営状況を勘案して、会社ごとに独自に判断することになりますが、経営状況を判断して、短期的に吸収できるようであれば、敢えて監督官と対立する必要はありませんので、素直に従っておいた方が無難です。

経営状況から判断して、6ヶ月分の遡及払いが困難な場合や、 遡及期間が6ヶ月超の場合も、基本的には、同じ対応を行います。

そして、3ヶ月の遡及払いで対応する場合には、その余の期間の支払い分について、従業員から「放棄書」を提出してもらうようにします。

3及び4の場合は、そもそも遡及期間の記載がありませんので、3ヶ月間の遡及払いで対応し、その余の期間の支払い分については、前述のような放棄書を提出してもらうことで対応します。

3及び4の場合に非常に重要なのは、間違っても監督官に対して、「いつまで遡ればよいか?」などと聞かないことです。

こんな質問をすると、監督官は「時効は2年です。」と、そっけなく答えることになるでしょう。

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